
葉桜が来た夏
アポストリという異星人と人が共存する琵琶湖のほとり、彦根居留区。
過去に起こった出来事により南方学はアポストリを憎むようになる。ところが彼はアポストリ評議長の美しい姪と“共棲”することになり──。
第14回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>受賞作!
背景世界 World
200×年、宇宙より飛来した巨大な十字架状の物体が琵琶湖に着水。
その物体にはアポストリという、身体能力と科学技術に優れた女性だけで構成される異星人が乗っていた。
紛争と講話の後、彼らからの技術供与を受けて日本は未曾有の繁栄をする傍ら、琵琶湖のほとり、旧彦根市は、人とアポストリが共存する、壁に囲まれた居留区となっていた──
用語 Words
アポストリ
移民のために地球へやってきた異星人。女性だけで構成される種族で、身体能力と科学技術に優れる。目が赤い以外、外見は人間と同じ。また、十代半ばで外見的成長を止める。
〈春(プリマヴェーラ)〉、〈夏(エスターテ)〉、〈秋(アウトゥンノ)〉、〈冬(インヴェルノ)〉の四氏族からなる。
十字架
アポストリが移民のために乗ってきた宇宙船の通称。細く長い胴体が二つ、垂直に交差している。琵琶湖に不時着し、以後そのまま突き刺さったままになっている。
4・18
十字架が琵琶湖に落ちてきて、日本とアポストリが戦いをはじめた開戦日。
彦根居留区
人間とアポストリが共存するよう定められた区域。壁に囲まれ、自由に出入りすることはできない。
共棲
人間とアポストリが一定期間、同居する制度。人間側は男女を問わない。居留区内の大学に進む高校三年生に義務づけられている。
登場人物 Characters
南方 学(みなみかた まなぶ)

彦根居留区に暮らす高校二年生。過去のとある出来事により、アポストリを憎むようになる。向こうから話しかけてくる岡町灯火以外はクラスメイトとも付き合わない生活を送っていたが、葉桜と共棲をすることになる。
葉桜(はざくら)

アポストリの評議長、茉莉花の姪。十六歳。鮮やかな金髪を持つ美しい少女。〈夏(エスターテ)〉の評議員候補。自らの使命に忠実で、ひたむきで気が強く、共棲相手の学に真っ直ぐにぶつかってくる。
岡町灯日(おかまち とうか)
学のクラスメイト。小学生にも見紛う小柄な身体をしている。無表情で何を考えているかわからないが、なぜか学に興味を持ち、話しかけてくる。
南方恵吾(みなみかた けいご)
在居留区日本大使。学の父親。十字架が落ちてきた直後、琵琶湖に派遣され開戦の瞬間に居合わせた。人間とアポストリの融和に尽力している。
茉莉花(まつりか)
アポストリの評議長。外見年齢は十代前半。黒髪のおかっぱ頭で古風な和人形を思わせる容貌をしている。






